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化学療法の小冊子の内容

タキソール・パラプラチン療法を受けられる患者さまへ


この情報は、母が大学病院で化学療法の治療の際に薬剤師さんから戴いた小冊子の内容を記載しております。

よって著作権は作成者である、その大学病院にありますので本来、インターネット上で公開してはいけないものだと承知しています。

しかし、もしこの情報が誰かの役に立つのであればと思い公開しました。そのような理由により、これを見た病院側から削除要請が来たことを発見した時は速やかに削除します。


はじめに・・・

今回あなたが受ける治療は
タキソール・パラプラチン(パクリタキセル・カルボプラチン)療法といって注射薬で行われる治療法です。タキソールとパラプラチンという注射薬を3週間に1回投与を数週間繰り返し行う予定です。投与回数や期間等につきましては医師にご確認ください。

化学療法では、担当医が患者さんの状態をよく見極め、副作用を十分観察しながら治療を進めていきますので、安心して治療を受けてください。この治療は副作用の発現をできるだけ抑えながら、治療効果を引き出すことが重要です。

副作用の程度や内容には個人差があり、患者様みなさんに同じ症状があらわれるとは限りません。そのためにも、医師や看護師だけでなく患者さま自身でも体調の変化などに注意していただき、早めの発見・対応をされることが安全に治療していくうえで、とても重要になってきます。


この冊子は、あなたがより安心して安全に治療を行うことができるように担当医の説明を補足するものとして

治療の流れ治療を受ける際の注意点副作用の初期症状対策セルフケアのポイントについて紹介してあります。参考にしてください。また、投与した日の観察記録表がついています。

投与した日の記録や体調の変化などについて何か気が付いたことがありましたら記入しておくと便利です。

投薬スケジュール


投与スケジュール



点滴注射の流れ

デカドロン+ザンタック 
       ポララミン+生食100mL

    ↓(30分)

カイトリルバッグ

    ↓(30分)

タキソール+生食500mL

    ↓(180分)

パラプラチン+生食500mL

    ↓(60分)

生食50mL

    ↓(5分)

    終了

*点滴時間は5時間の予定です。




薬の作用


薬の作用
ポララミンタキソールによるアレルギー症状を抑えます
デカドロンタキソールによるアレルギー症状を抑えます
ザンタックタキソールによるアレルギー症状を抑えます
カイトリル吐き気を抑えます
タキソール抗主腫瘍薬です
パラプラチン抗主腫瘍薬です
*体調や副作用により、お薬の量や順番が変更になることがあります。


タキソールには、アルコールが含まれています。少量のアルコールでも酔ってしまう方は、治療前に担当医へお知らせ下さい。治療直後の「車の運転」は、避けて下さい。


点滴中の注意点

点滴中に次のような症状が起きましたら、すぐに医療スタッフにお知らせください。

  • 点滴の針を刺している部分に痛みを感じた
  • 気分が悪くなってきた
  • 点滴が漏れてきた
  • じんま疹、発疹、顔がほてる
  • 心臓がドキドキする


タキソール・パラプラチン療法の副作用と対策

なぜ副作用があらわれるのか?

抗腫瘍薬は、腫瘍細胞だけでなく、正常な細胞にも作用してしまうため、これが副作用となってあらわれます。


発現時期治療当日~数日数日~数週間数週間~数ヶ月
主な症状悪心・嘔気・関節痛・筋肉痛
手足のしびれ・倦怠感
など
白血球・発熱・下痢
便秘・口内炎
など
皮膚の色素沈着
脱毛
など


悪心・嘔気に関して

吐き気止めのお薬を予防的に投与します。強い吐き気や症状が長引く場合には、担当医に伝えて下さい。

予防的に使用している薬以外にも有効な薬もあります。

軽い症状の場合には、氷を口に含んだり、ジュースを飲むのもよいでしょう。1回の食事の量は少なめにして、何回かに分けて食事をとることも有効だといわれています。また、食後はゆっくりくつろぎ、すぐに仰向けに寝ないようにしましょう。


関節痛、筋肉痛の症状がでてきたら?

治療開始後2~3日目に、関節の痛みや肩・背中・腰・腕などの筋肉の痛みを感じることがあります。ほとんどの場合、1週間以内に自然と回復しますが、症状が長引くようでしたら、担当医に伝えて下さい。

湿布薬や鎮痛薬が有効なこともあります。


手足のしびれの症状がでたら?

症状が軽い場合には、1週間以内に自然に回復します。治療中は、なるべく重いものを持たないようにしましょう。また、治療回数を重ねるにつれて症状が強くなることもあります。症状が長引くようでしたら、担当医に伝えて下さい。

症状を和らげるお薬(漢方薬など)が出ることがあります。


発熱(38℃以上)、悪寒の症状がでたら?

あらかじめ担当医からお薬が処方されている場合は、そのお薬を服用してください。市販されている風邪薬には、出血を促す成分が含まれている製品もありますので、自己判断で服用しないでください。

白血球は、点滴後1週間から徐々に減少し始めます。白血球が減少すると感染症にかかりやすくなってしまいます。そのため、この時期は人ごみはなるべく避け、外出する時はマスクをするなど予防に心掛けて下さい。うがい・手洗いをこまめにしましょう。


白血球・好中球減少による発熱の場合

白血球・好中球を増やすお薬(グラン・ノイトロジンなど)や抗生物質で対応します。投与した後に、一時的に「骨の痛み」が生じることがあります。


白血球グラフ


出血(血小板減少)

血小板は血を止める働きがあります。血小板が減ると、血が止まりにくくなったり、あざができやすくなったりすることがあります。
症状に応じてお薬を使うこともあります。


日常生活でのポイント

  • ケガや傷に気をつけましょう・。
  • 歯磨きや鼻をかむ時は、やさしくしましょう。
  • 排便時は、肛門周囲を清潔に保ちましょう。


貧血

赤血球が減ることによって起こります。身体がだるく、めまいや息切れなどの症状がみられた場合には、担当医に伝えて下さい。

症状が重い場合は輸血で対応することがあります。基本的に骨髄の機能は、時間をかけると元に戻りますので、軽い症状であれば特に輸血を行うことはありません。 


下痢の症状があらわれてきたら?

1日に4回以上の便通、水様便、夜間の下痢などの症状があらわれたら主治医に報告して下さい。市販されているお薬は、症状が悪化したり、長引くおそれがありますので、自己判断で服用しないで下さい。必ず担当医に相談して下さい。

下痢をしている時は、水分を多めにとるよう心掛けて下さい。

下痢止めのお薬で対応することがあります。


口内炎の症状がでてきたら?

口の中の粘膜が障害されるために起こります。ほとんど一時的なものですが、出血や腫れ、ただれがひどい時は、担当医に相談してください。

治療中は、口の中を清潔に保つように心掛けることも口内炎の予防に効果があります。食事の後は、必ず歯磨きをするよう心掛けましょう。

口内炎治療薬で対応する場合があります。


脱毛に関して

症状の発現には、個人差があり2~3週間後から始まりますが、脱毛は、一時的で治療を終了してから6~8週間ほどで髪が生え始め、6ヶ月程でほぼ回復します。髪を洗う時は、刺激の少ないものを使いましょう。

帽子やスカーフ、医療用かつらを使用されている患者さまもいらしゃいます。パンフレットも用意していますので、お気軽にご相談ください。


その他の副作用

過敏症状

患者さまによって薬が身体に合わないことがあります。顔のほてり、蕁麻疹、かゆみ、心臓がドキドキする、息苦しいといった症状が特徴です。

  • 初回時は、心電図モニターを装着し観察します。
  • 内服薬(レスタミン)や注射薬(ザンタック)(デカドロン)で予防します。


便秘

吐き気止めの影響もあり、便秘になることがあります。

  • 下剤(プルゼニド、アローゼン)などで対応します。


薬剤性肝機能障害・腎機能障害

投与薬剤の減量を行います。投与薬剤を変更する場合があります。