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母がやっていた化学療法
母が一番初めに大学病院へ入院したときに行なった化学療法について、そのときに丁寧に説明してくださった薬剤師の方がくれた小冊子を参考に「母がやることになった化学療法」の内容を記載します。但し、あくまで母の場合なので、症状により個人差があると思います。
タキソール・パラプラチン療法
タキソール・パラプラチン(パクリタキセル・カルボプラチン)療法というのが今回、母が行なっている療法で、タキソールとパラプラチンという注射薬を3週間に1回の投与を数週間繰り返し行うといった化学療法。
また、タキソール・パラプラチン療法は、投与後の副作用が現れるのをできるだけ抑えながら、癌細胞をなくすことが重要である。
投与予定の回数は6回で、その間1週間に1度通院して診察などを行なっている。ただし、白血球(WBC)の数値が3000以上でないと投与できないので、単純に3週間に1回の投与というわけにはいかないのが現状。
抗ガン剤投与の流れ
デカドロン+ザンタック
↓ポララミン+生食100mL
↓(30分)
カイトリルバッグ
↓(30分)
タキソール+生食500mL
↓(180分)
パラプラチン+生食500mL
↓(60分)
生食50mL
↓(5分)
終了
*点滴時間は約5時間。又その日の体調や副作用によって、薬の量や投与の順番が変更になることがある。
上記なような流れで抗ガン剤の投与を行なっている。当日に投与ができるかどうかは、診察前に血液検査を必ずするので、その検査の結果を診て担当医が判断してくれる。
投与が可能であれば、午前中から点滴が開始され、終了するのは夕方。但し、点滴中は何もできないか?というとそうではなく、一緒に昼食を食べたり、本を読んだりもできるので自由ではある。母は携帯用のラジオを常に持参して、診察前やこういった点滴の時はラジオを聴いています。
それぞれの薬の作用
- デカドロン:タキソールによるアレルギー症状を抑る
- ザンタック:タキソールによるアレルギー症状を抑る
- ポララミン:タキソールによるアレルギー症状を抑る
- カイトリル:吐き気を抑える
- タキソール:抗主腫瘍薬
- タキソールには、アルコールが含まれており、少量のアルコールでも酔う人は、第1回に投与する際に主治医へ伝えておく必要がある。(ちなみに母の場合は、これが心配されたが酔う状態にはならないで済んだ為、その後の投与を行なうことができました。)
- パラプラチン:抗主腫瘍薬
点滴中に注意すること
- 吐き気がしたり、気分が悪くなってきた。
- じんま疹や発疹が出てきた。
- 顔がほてってきた。
- 心臓がドキドキしてきた。
- 点滴の針を刺している部分が痛くなってきた。
- 点滴が漏れてきた。
看護師さんは、マメに声をかけてくれますが、点滴中に上記のような症状を感じたら、すぐに症状を言いましょう!!
なぜ副作用がでるのか?
化学療法で使用する抗腫瘍薬は、腫瘍細胞だけでなく、正常な細胞にも作用してしまう。その為に副作用となり下記の症状などが出てくる。
当日~数日
- 主な症状
悪心・嘔気・関節痛・筋肉痛・手足のしびれ・倦怠感など
数日~数週間
- 主な症状
白血球・発熱・下痢・便秘・口内炎など
数週間~数ヶ月
- 主な症状
皮膚の色素沈着・脱毛など
副作用について
悪心や嘔気に関する予防と対策
吐き気止めの薬を処方してくれます。薬は予防的に処方される薬とそれ以外にも有効な薬があるので、強い吐き気や症状が長引いている場合には、担当医に伝えましょう。
症状が軽い場合には、口に氷を含んだり、ジュースを飲むのもよいらしいです。また、1回にとる食事の量は、いつもよりも少なめにし、食事を何回かに分けてとることも有効な方法と言われています。それと食後は、すぐに仰向けに寝ないほうがよいので、ゆっくりくつろいでからにしましょう。
関節痛、筋肉痛について
化学療法の治療を開始してから2~3日目に、関節が痛くなったり肩、背中、腰、腕などの筋肉が痛くなることがあるようです。
こういった関節痛や筋肉痛は、おおむね1週間以内に自然と痛みがなくなってきますが、症状が長引く場合は担当医に伝えましょう。ちなみに処方される湿布や鎮痛剤が症状に有効な場合もあるようです。
手足のしびれについて
副作用により、手足がしびれてくる症状がでます。しびれが軽い場合は、1週間以内に自然回復しますが、ただし治療中は、なるべく重いものは持たないほうがよいでしょう。
又、治療の回数を重ねるにつれて、しびれの症状が強くなってくることがあるので、しびれが辛い場合には担当医に伝えましょう。その際、処方として、しびれを緩和する薬(漢方薬など)が出ることがあります。
発熱(38℃以上)、悪寒の症状がでたら?
あらかじめ担当医から薬が処方されている場合は、その薬を服用する。
- 注意
ドラッグストアなどで売られている風邪薬には、出血を促す成分が含まれている薬もあるため、絶対に自己判断で服用せずに担当医に処方してもらいましょう。
白血球・好中球減少による発熱の場合
血液検査の結果、白血球(WBC)、好中球(NEUT)の数値が低い場合は、白血球・好中球を増やす注射(3回)や抗生物質を処方されます。*投与後、一時的に「骨の痛み」を感じることもあります。
点滴後、1週間くらいから白血球は徐々に減少してきます。人間の身体は白血球が少なくなると、細菌に感染しやすくなりますので、この期間はなるべく人ごみは避けて、外出する際にはマスクをするなどして、感染しないように予防しましょう。また、手洗いやうがいも、こまめにしましょう。
日常生活でのポイント
- ケガや傷に気をつける。
- 歯磨きや鼻をかむ場合は、力をいれすぎないで、やさしくする。
- 排便時は、肛門周囲を清潔に保つ。
下痢の症状があらわれてきたら?
下記の症状があらわれたら、担当医に報告しましょう。下痢止めの薬を処方されることがあります。*下痢の場合は、水分を多めに摂取するよう心掛けましょう。
- 1日に4回以上の便通
- 水様便
- 夜間の下痢
など- 注意
ドラッグストアなどで売られている薬は、症状が悪化したり、長引く場合があるので、絶対に自己判断で服用せずに担当医に処方してもらいましょう。
- 注意
脱毛に関すること
髪が抜けてくる時期には個人差がありますが、治療を開始してから約2~3週間後から脱毛が始まります。しかし、治療による脱毛は一時的なもので、抗がん剤の治療が終了すると約6~8週間ほどで髪は徐々に生え始め、6ヶ月程でほぼ回復します。日常生活での洗髪の際は、なるべく刺激の少ないシャンプーを使いましょう。
口内炎の症状がでてきたら?
口内炎は、口の中の粘膜が障害されるため発生します。ほとんどの場合は一時的なものですが、腫れや出血、ただれが酷い時は、担当医に相談しましょう。*口内炎治療薬が処方されることがあります。
また、予防として、口の中を清潔に保つように心掛けることも効果がありますので、食後は、必ず歯磨きをしましょう。
出血(血小板減少)について
血小板は血を止める働きがあるので、血小板が減ってしまうと血が止まりにくくなったり、打撲した場合は、アザができやすくなったりすることがあります。その際は、症状によって薬を使用することもあります。
貧血について
貧血は赤血球が減ることにより発生します。身体がだるい、めまいがするや息切れがするなどの症状があらわれた場合は担当医に相談しましょう。
貧血の症状が重い場合は輸血をすることがありますが、症状が軽い場合は輸血をすることはありません。*基本的に骨髄の機能は、時間をかけると元に戻ります。
過敏症状について
処方された薬が身体に合わないことがあります。
主な特徴は・・・
- 顔がほてる。
- じんましんが出た。
- 体がかゆい。
- 心臓がドキドキする。
- 息苦しい。
といった症状が特徴。
このような症状が出た場合、初回時は心電図モニターを装着し観察し、内服薬(レスタミン)や注射薬(ザンタック)(デカドロン)で予防をします。
便秘について
便秘の要因として、治療中に吐き気止めを処方されることの影響もあり、便秘になる場合があります。処方される薬としては、下剤(プルゼニド、アローゼン)などがあります。
薬剤性肝機能障害・腎機能障害について
治療による薬剤が影響して、肝機能障害・腎機能障害といった症状が出た場合は投与薬剤の減量や変更をする場合があります。
タキソール・パラプラチン療法が終了して・・・
アクプラ・カンプト療法
このタキソール・パラプラチン療法は、2011年2月18日~10月7日まで合計8回を実施しました。しかし、PET(ペット)検査の結果、腸管膜と肝臓に上にガンが発見され、主治医の判断でアクプラ・カンプト(ネダプラチン・イリノテカン)療法 という次の抗がん剤の投与を11月9日から開始。
タキソール・パラプラチン療法の3週間に1回という投与間隔と違うところは、1週間に1回を合計3回を1クールとして、(4週目は投与はお休み)この投与間隔で3クールするということです。
アクプラ・カンプト(ネダプラチン・イリノテカン)療法 | |
1週目 | ネダプラチン・イリノテカンを点滴 |
2週目 | イリノテカンのみを点滴 |
3週目 | イリノテカンのみを点滴 |
4週目 | 点滴は、お休み |
2011年12月現在、点滴の最中ですが第1週に点滴をする2種類(ネダプラチン・イリノテカン)のときは、副作用の吐き気に苦しみました。
第1回目はタキソール・パラプラチン療法と同様に入院をしての点滴になりました。この時の主治医からの説明で「人によっては、ひどい下痢になるかもしれないです。」と言われていたのでドキドキしていたのですが、ひどい下痢ではなく、ひどい吐き気だったのです。
第2週目からのイリノテカンのみの点滴の場合は、副作用も少し穏やかのようです。しかし、3週連続の点滴は体力的にもしんどいようで、白血球の数値が低い場合は点滴ができない時があって、ホッとしていました。
ストレスになるのは、点滴をして少し体調がよくなってきたと思ったら又、点滴をすることを繰り返すことです。本人も3クールが終了するまで体力が持つかどうか心配しています。
参考資料
このページの内容は、化学療法の小冊子の内容を元に作成しました。