セカンドオピニオンと転院

大学病院には「セカンドオピニオンについて」という張り紙が目に付くところに貼ってあって、あたかも簡単にできそうな雰囲気を醸し出しているが、実際はホイホイとできるシステムではないと言いたい。

13ヶ月の間に僕は、何度もセカンドオピニオンのことを考えていたけれど結局、実行には移せなかった。

一度目は「2クール目の抗癌剤投与の結果が良くなかった時」だった。


1クール目の結果は、腫瘍マーカーの数値もある程度下がってくれたので二人で喜んだのだが2クール目は、そうではなかった。

それ以降、白血球の数が規定の数値を超えないことが多くなり、抗癌剤の投与を見送ることも多くなっていくのだけれど、いつしか「このままでは、母の体が持たない・・・違う病院で診てもらおうか・・・」と思うようになり、転院できそうな病院を探し始めたのだ。

結論から言うと、転院の考えはなくなったのだが(母には、僕が転院のことを調べているとは言わなかった)その理由は「たとえ転院したとしても、国民皆保険が適用される化学療法は、どこの病院へ行っても同じことをするだけ」それと「転院したら、また検査などをする為、母の体の負担を考えても得策ではない」と判断したからだ。


代替治療として温熱療法をやっている総合病院もあることにはあったので、暫くして母には何気なく「こういう病院があるけどどう?」と聞いてみたが、「このままでいいよ・・・」という返事が帰ってきた。

理由として、やはり検査などを最初からするのはツライからだった。それに、自由診療だから医療費も高額になるからというのも理由のひとつであった。

そして、亡くなる数週間前に「漢方を積極的に取り入れている病院」を見つけて、本人にも了解してもらい転院の直前まで事が運んでいたが、結局その病院に移ることなく母は旅立ってしまった。


セカンドオピニオンって患者側からすると、とても勇気のいることだし、もの凄く判断に迷うと実感した。

というか現在のセカンドオピニオンというもの自体、そもそも意味があるのかぁ?

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