2014.07.24
カテゴリ:書籍メモ
書籍メモ:「名医のウソ」
目 次
序 章 名医を作るのは患者である
第1章 病院ですっきりしない理由
第2章 病院選びの前に身につけたい医者との対話法
第3章 「薬」は医者も知っているつもり
第4章 治療経過の履歴書を作る(メモは無し)
第5章 医者は万能だという都市伝説
第6章 「病院ガイド」では、わからない本当のポイント
終 章 日本の医療がわかりづらい理由
あとがき
病院選びの目安
医療サービスを受けるということは・・・
①病院を選んで
②医者に自分が困っていることを話して
③そのアドバイスに従って治療を選択する
という3点に要約されます。
- P31及びP131
第1章 病院ですっきりしない理由
- 本書でいう「名医」は、我々にとって質の良い医療を提供してくれる存在のことです。そして、この定義に従えば、むしろ名医は、この認識を元に、注意深く、我々自身で作っていく必要があるといえます。
- P30
第2章 病院選びの前に身につけたい医者との対話法
- 食品に例えるなら、日本の医療システムは、質はともかくとして、量や値段で勝負!の中国製品のようなものです。この現状内で利用者である皆さんがクオリティーを求めるようとするならば、医療者側から提供される大勢に流されてはいけないのです。だから、自分の健康の問題を全て医者に丸投げしないという意識が一番重要です。
- P43
第3章 「薬」は医者も知っているつもり
- 幸か不幸か本書を手に取った皆さんは覚えておいてほしいのですが、高血圧や高脂血症、糖尿病や高尿酸血症に代表されるような、いわゆる生活習慣病の類は、よほどひどくない限り、それ自体で症状を引き起こすことは稀(まれ)です。それでも定期的な服用を勧めるのは生活習慣病を「予防」するためです。
- P84
第5章 医者は万能だという都市伝説
- 今の日本の法律では、専門医の技術料を認めていませんから、一定数以上の患者を診ないと経営が成り立ちません。
- P161
- 今の日本のシステムでは、診療科目を絞るということは、来院する患者が減ることを意味します。「量」が減りますから経営的に行き詰ることは、火を見るより明らかです。
- P161
- 「大病院だから安心ではない」
- P162~
- 「病院ランキングの怪しさ」
- P165~
第6章 「病院ガイド」では、わからない本当のポイント(この本のキモの部分)
- 「名医の条件」
- P168~
- それでは、求めるべき名医=いいお医者さんとは、どのような医者でしょうか?一口で言うならば身の丈にあった説明、治療をしてくれる医者です。これに尽きると思います。
実のところ、もう少し言うと、「説明がわかりやすい」医者、ないしは、説明を一生懸命しようとしてくれる医者は、信頼できるし、その病気の知識が豊富だと言えます。
医者の肩書きや病院の医療設備などは二の次で、本当はこれがもっとも確度*1が高くて、皆さんにもわかりやすい基準だと思います。- P170~P171
戦略として、いい医者を見つける為には、
- 第1ステップ
「看板」に惑わされずに、医者の本当の専門を見抜いて受診する。 - 第2ステップ
ふるい分けした医療機関を実際に受診して説明が上手い、素人の目線からでもわかりやすいと思える医者を決めて定期的に受診する。- P172
看板の見抜き方 医者の本当の専門を見抜くポイント
- ポイント①
(個人開業の医院、クリニックの場合は特に)看板に掲げている標榜*3科の初めの科が専門のことが多い。 - ポイント②
内科、〇×内科・・・などと重複して内科を掲げている場合は、〇×内科が本当に専門であることが多い。 - ポイント③
大学病院や大きな総合病院で、臨床研修指定病院の認定を受けている病院では、研修医の診察・診療は、つきものだと覚悟する。 - ポイント④
内視鏡、心臓カテーテル検査などの体に負担がかかる検査を受ける場合は、さらに慎重に。それこそ、検査をする医者によって、全然質が違う。- P173
- 手術は、現在一般的に行われている手術では、術式といわれる、手術のレシピというか方程式というか、このようにやりなさいというマニュアルが決まっています。
医療ドラマなどでは、手術中にピンチに陥った医者が新たな手術法を用いて乗り切るみたいなシーンがありますが、実際には、そんな創造性はほとんど必要ありません。
そんな行き当たりばったりな手術をしていたのでは、患者さんの命がいくつあっても足りません。- P189
- セカンドオピニオンは、まず元々の主治医ないしは、かかりつけ医が存在して、その医者からある程度の説明を受けた上で、他の医師の説明も聞いてみたいという動機から、診療情報提供書を持参の上、他の医者を受診するというのが本来の流れです。
- P197
終章(この本のキモの部分)
- だからこそ、本書で繰り返し述べてきたような、「医者に丸投げはしないで、医者に正しく自分の症状や治療経過をプレゼンしつつ、自分で情報を集めて判断する、そして医者が万能でないことを認識して、自分の症状に合わせた医者を症状ごとに選んでいく」という癖(くせ)をつけていただきたいのです。
これが、身についていれば、「一生ものの知恵」になると思います。現時点でも、そして、将来、制度が変わっても必ず役に立つはずです。- P219
各章のまとめ
第1章のまとめ
- 「医療機関を利用する」ということの特殊性をまず認識しましょう。
- 医療サービスは、その受け手がサービスの良し悪しを判断できない、という点で特殊です。
- 利用者側も参加して作り上げなければ良いサービスは受けられません。
- P32
第2章のまとめ
- 診察時には、自分なりの不安感(病気に対しての自分なりの解釈)いわゆる「心配の種」を改めて意識して、必ず医師にぶつけてみましょう。「言われなくてもやってるよ!」と言わないでください。この「改めて意識する」というのがポイントであり、ミソです。
- あなたの「心配の種」を自発的に拾う余裕が医師にはありません。積極的に訴えましょう。特に男性は我慢しないように。
- P59
第3章のまとめ
- 「病院を変えてはいけない」は、間違いです。
- 自分で自分の治療経過を説明できるなら、全く問題ありません。
- 治療経過で、特に薬は重要です。
- 薬に関しての医者と薬剤師それぞれの得意分野、不得意分野を頭に入れておきましょう。
- 自分で服薬の中断をするのは、やめましょう。
- 症状がなくても薬を飲んだほうがいいという考え方を知りましょう。
- P90
第4章のまとめ
- 込み入った治療経過の場合は、履歴書のようにまとめておきましょう。
- 背伸びした医学用語など使わなくていいので、自分の言葉で書きましょう。時系列的に書くことが重要です。
- 履歴書の自己アピール文が重要なのと同様に、自分の病気に対しての不安も書いておくのがよいです。
- 医療機関を変えるときは、紹介状を書いてもらいましょう。独力では無理な、様々なメリットが得られます。
- 医者にお金を包むのは個人の自由ですが、それで診療の質が向上するわけではありません。
- P129
第5章のまとめ
- 医者を選ぶ前に、医者は万能ではないことをまず認識しましょう。
- 自分の症状とマッチした医者にかからないと、受けられる医療サービスの質は低下します。
- 「エビデンス*2」という概念から、医療行為の「良し悪し」が、はっきりしてきました。
- P166
第6章のまとめ
- 皆さんが求める名医とは、説明がわかりやすい医者のことです。
- 説明を上手にしてもらう為には。専門がマッチすることが必要です。
- 小規模な医療機関では、標榜する診療科に注目しましょう。
- 検査は、どこで受けても正確な結果が出るわけではないことを認識しましょう。
- 皆さんが「納得」できるかどうかが、治療方針の重要な決定要素です。
- P205
語句の意味
- 玉石混交(ぎょくせきこんこう)
- すぐれたものと劣ったものとが、入りまじっていること。
- P30
- すぐれたものと劣ったものとが、入りまじっていること。
- 徒手空拳(としゅくうけん)
- 1、手に何も持っていず、素手であること。
- 2、資金・地位など頼るものがなく自分の身一つであること。
- P30
- 標榜(ひょうぼう)
- 主義・主張を公然と表すること。
- P164 6行目
- 主義・主張を公然と表すること。
- 穿孔(せんこう)
- 穴をあけること。穴があくこと。また、その穴。
- 「~機」「胃~」
- P182
- 目端(めはし)
- その場を見はからう機転。
- 「~が利く」
- P208
- 玉虫色(たまむしいろ)作戦
- この場合「見方や立場によって色々に解釈できる、あいまいな表現などを例えていう語」を言っている。
- P217
- この場合「見方や立場によって色々に解釈できる、あいまいな表現などを例えていう語」を言っている。
書籍データ
- タイトル
- 「名医のウソ」 ~病院で損をしないために~
- 著者
- 児玉知之
- 1976年生まれ
元:聖路加国際病院内科医(2006年に同院を退職)
- 1976年生まれ
- 児玉知之
- 発行日
- 2008年9月20
- 出版社
- 新潮新書
- 金額
- 700円(税別)
参考文献
- 「名医のウソ」 ~病院で損をしないために~
- 著者:児玉知之
- このページの内容は、上記書籍から抜粋しました。
- 著者:児玉知之